むち打ち

むち打ちとは

むち打ちは交通事故や高所からの落下などで、瞬間的に首に大きな力が加わって首周りの骨や関節、筋肉や神経などに損傷がおこる、頸椎捻挫や神経根症などといったケガの総称です。
首が外因によってムチのように大きくしなるところからむち打ちと呼ばれるようになりました。頸椎の損傷によって首、背中、後頭部、肩、肘などに痛みやしびれ、違和感が生じることが特徴です。
ほとんどのケースでは、数週間安静にしていると治ってしまうのですが、時には慢性化してずっと症状が遺ってしまうこともありますので、はやめに整形外科を受診してください。

むち打ちの原因

むち打ちの直接のきっかけとしては、交通事故、スポーツによる人と人の激しい接触、転倒、高所からの落下などがあげられます。体に強い力がかかり、その反動や慣性力などによって首が大きく振られることによって、首の周辺の筋肉や靱帯が損傷することが原因ともされており、様々な症状を起こします。

むち打ちの症状

むち打ちは、事故に遭ってから数時間から数日たってから症状があらわれることが多く、交通事故の場合は、必ず整形外科で診断を受けておくようにしましょう。
症状としては、首から背中にかけての痛み、首が動かない・動かしにくいなどの障害、頭痛や吐き気、耳鳴りやめまいや倦怠感などといった神経症状、腕や手などが痛んだり痺れたりする神経根症など、首周辺だけではなく広範囲にわたります。

むち打ちの診断・検査

問診では、自覚症状のほか、どのようなきっかけでおこったか、その時の状態はどうであったかなどを確認します。その後、頸部の状態をX線で確認します。骨折や脱臼など、骨や関節に異常がないか、また首まわりの頸椎、靱帯、椎間板などに損傷や炎症がないかなども確認します。
必要であれば、さらにMRI検査を行い、X線では確認できない神経や椎間板などの詳細を確認します。

むち打ちの治療

損傷したのが、筋肉や靱帯なのか、骨や関節なのか、神経なのかによって症状が異なりますので治療もそれぞれの症状にあわせて行います。
基本的には、患部を安静にすることによって改善していくことが多いのですが、X線やMRIなどの画像検査によって、骨や軟骨などの組織に損傷が認められるような場合には、頸椎カラー(首を固定するサポーターかギブスのようなものです)が有効です。ただし、頸椎カラーは症状によってはかえって逆効果になることもありますので、自分で判断せず、必ず整形外科医の指示に従って使用してください。
炎症系のむち打ちの場合は、初期の炎症の激しい時期は、まずは患部を冷やして炎症の拡がりを抑えます。また消炎鎮痛薬などによる薬物療法で痛みをコントロールします。内服や外用薬だけでは効果が得られないケースでは、ブロック注射などを検討することもあります。
炎症がある程度おさまってきたら、理学療法として牽引や温熱療法が有効になります。また安静にしたことによる筋力の低下や可動域の回復のため、マッサージや筋力トレーニング、機能トレーニングなどのリハビリを行うことになります。
当院では、急性期から回復期まで、専門の医師と理学療法士が連携して、治療とリハビリなどにあたりますので、お困りのときはご相談ください。

交通事故とむち打ち

むち打ちの一番のきっかけは交通事故によるものです。近年は自動車にはシートベルトやヘッドレストの設置や装着が義務づけられており、以前ほど激しく首がむち打ってしまうことはなくなってきたのですが、それでも人体への負荷は相当なものです。
また、交通事故には保険や賠償等の手続がつきものですので、そうした意味でも、事故後適切な時期に、医師による診断を受けることが大切です。
事故の補償等に必要な診断書を発行できるのは医師のみです。接骨院や整体などで治療を受けたい場合でも、最初は整形外科で診察を受けて診断書をとっておかないと、保険金や損害補償金の支払いなどで不利益をこうむってしまうこともありますので、ご注意ください。

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